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LiB米山氏、ビットジャーニー井原氏対談|エンジニア組織のトップ経験者が考えるエンジニアのあるべきキャリアとは?

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186日前

企業に所属するエンジニアは一定の年齢を過ぎると、キャリアをマネジメントに振る場合が多い。CTO(最高技術責任者)はその集大成だろう。だが、CTOは本当にエンジニアのキャリアの終着点なのか

女性のためのライフキャリア支援事業を手掛けるLiBの取締役で2017年2月までCTOを兼任していた米山諒氏と、ヤフー、クックパッドで開発部長を務め、現在ビットジャーニーの代表として活動する井原正博氏に、エンジニアの組織マネジメントやキャリア構築のあり方などについて聞いた。


 ▲ 株式会社LiB 取締役 米山諒氏
1986年生まれ。早稲田大学大学院在学中、創業期のビズリーチにインターンとして参加。プロダクト開発の一端を担う。2011年4月、リクルート初のIT採用枠で入社し、プロデューサーとして新規事業の立ち上げ、事業運営責任者を務める。その後、フリーランスとして複数のスタートアップを支援後、LiBの創業に参画。以来、取締役として「LiBzCAREER」の開発から組織マネジメントまで幅広い業務を担当していたが、2015年10月から兼務していたCTO職を2017年2月で退任。今後は取締役として経営にあたる。


 ▲ 株式会社ビットジャーニー 代表取締役 井原正博氏
1974年生まれ。ソフトベンダーで表計算ソフトなどの開発に携わる。2002年1月、ヤフーに転職し「Yahoo!メール」や「Yahoo!知恵袋」などの開発を経て開発部長に就任。2010年1月からは、クックパッドの技術部長としてエンジニア採用や組織づくりに尽力する。2015年1月、ビットジャーニーを創業。2017年3月には情報共有ツール「Kibela」を正式リリースする。現在は自社経営と並行して、LiBを含む複数の企業で技術顧問を務める。

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米山氏が当初CTOを名乗らなかったわけ

 

LiBの米山諒氏は創業以来、同社の技術部門を率いてきたが、長らく自らの肩書にCTOを用いることには躊躇があったという。なぜか?

「取締役であり、サービスを立ち上げた創業エンジニアという肩書にCTOという呼称まで加わったら、私に対して誰も何もいえなくなくなってしまうのでは、という懸念があったからです」

こうした憂いを払拭するため、代表の松本洋介氏と米山氏は、2014年の秋口から翌年春にかけて、AWSエバンジェリストとして活躍していた堀内康弘氏や元クックパッドの開発部長の井原正博氏に声を掛け、それぞれ「外部CTO」「技術コーチ」への就任を打診。ベテランエンジニアからノウハウを吸収しようと試みていたという。

「井原さんとお会いしたのは、ちょうど最初のエンジニアが入社するかどうかというタイミングでした。しかし私自身には、いちメンバーとしてチーム開発の経験はあっても、エンジニアを採用したりマネジメントをしたりした経験はありません。そこでぜひ、井原さんが培ってこられた技術力や組織構築の経験をLiBでも発揮していただきたくてお声がけしたんです」(米山氏)

クックパッドを退職し起業準備中の井原氏にとって、LiBからの申し出は思いもよらないものだったが、自分の能力が生かせるのであればという思いから快諾したという。

「技術コーチになった頃は、自分の会社に社員はいませんでしたから、かつてヤフーやクックパッドで培った経験を生かせる状況ではありませんでした。私自身、もともと自分の能力を100%使い切らないともったいないと考えてしまうタイプでしたし、LiBさんは、技術が組織を成長させるエンジンだと信じている会社。トップもエンジニアに理解があると感じたので、自分の経験が役に立つならとお話をお受けすることにしました」(井原氏)

自分が書いたコードにツッコんでくれる人がほしかった

まず米山氏と井原氏が取り組んだのは、コードレビューを通じた開発文化づくりだった。

「サービスをよくするために必要なのは、役職や役割とは関係なく自由に議論できる雰囲気です。コードを前にエンジニアは平等だということを示すためにも、井原さんには自分が書いたコードに容赦なくツッコんでくださいとお願いしました。メンバーがそうした姿を目にすることで問題点を指摘しやすくなるでしょうし、サービスのあるべき姿を追求しやすくなると考えたからです。LiBには開発にあたる際、担当したエンジニアは必ず自分以外の誰かにコードレビューをしてもらうというルールがあるのですが、これは井原さんとの対話をもとに生まれた開発文化のひとつです」(米山)

もうひとつLiBを代表する開発文化に「ユーザーファースト」がある。これも井原氏との対話から生まれものだという。

LiBでは、ディレクターが企画、エンジニアが実装するのではなく、ひとりのエンジニアが担当します。ユーザーに想定した価値が本当に届いているか、エンジニア自身が責任感を持って取り組むためです。こうすることで、万が一施策が失敗したとしても『企画がイケていなかったから』、『エンジニアが指示通りつくらなかったから』などという不毛な対立もなくなります。LiBのエンジニアが企画や目標数値にも責任を負うのは、ユーザーファーストを実現するためなのです」(米山氏)

井原氏には、クックパッド時代に10名にも満たなかったエンジニア組織を50名程度にまで引き上げた実績がある。常にユーザーファーストを念頭において開発してきたからだと井原氏は考えている。

エンジニア自身が、何のために技術を学び、身に付けた技術をユーザーのためにどう使うべきかを知らなければ、提供するサービスの品質は下がり組織はバラバラになってしまうでしょう。米山さんとは、直近の課題だけでなく、ユーザーに価値をどう届けるべきかなど、サービスの本質に関わることもよく話しています。自分の知見がLiBさんの開発文化に役立っているなら、これほど嬉しいことはありません」(井原氏)

CTOだって、組織内での役割分担に過ぎない

2017年2月、LiBはIPO(株式公開)の実現に向け新体制に移行した。これまで松本氏がそれまで兼務していた、グループ企業のリブズパートナーズの代表取締役社長に佐地良太氏が就任し、LiBのCTOは米山氏に代わってグリーで活躍していた水上学氏が就くことになったのだ。

創業期のCTOには3つの役割があると思っています。技術的な視点を持ちつつ経営に携わることエンジニア組織をまとめること、そしてスペシャリストとして技術を深掘りするという3つの役割です。自分はもともと技術そのものより、技術を生かして事業開発にあたるほうが得意という自覚がありました。ですから技術部門のトップを担うCTOには、いずれ内部で育てた人材を充てるか、外部から適任者を招くべきだと考えていたので、今回、開発経験豊富な水上を迎えられたのは、とても良かったと思っています。引き続き、エンジニアの採用や組織づくりに強い井原さんのお力添えをいただきながら、LiBのエンジニアリング力を高めていければと思っています」(米山氏)

米山氏はエンジニアや事業プロデューサーを経験後、取締役兼CTO、取締役専任へとその役割を変えている。一方、井原氏もエンジニアから開発部長、そして自社の代表、各社の技術顧問へと活動の場を広げてきた。エンジニアのキャリアパスについてどのように考えているのだろうか。最後に聞いてみた。

「ウェブサービスを開発するだけであれば、時代とともに技術的な難易度はどんどん下がっています。技術のスペシャリストを目指すのもひとつの道だと思いますが、その一方で、技術的な知見をベースに経営や間接部門など、技術による恩恵をあまり受けていない分野に活動の軸足を移すのもありではないでしょうか。エンジニアは人手がかかる工程を仕組み化したり、効率化したりするのが得意。視野を広げれば活躍できる領域はたくさんあると思います」(米山氏)

CTOだって、組織内での役割分担に過ぎません大事なのは肩書などよりも、本当にやりたいことがやれるかどうかです。私自身は誰かに選ばれるよりも、自分からすべきことを選びたいので、常に自分の側に選択権がある状態を維持しようと心がけてきました。起業も、他社の技術顧問を引き受けたのも、もちろん自分の選択。大事なのは選択権を獲得するために努力することなんだと思います肩書やポジションのような相対的な基準に振り回されるのではなく、自分がこれからどう生きたいか、絶対的な基準を持つことなんです」(井原氏)

ふたりのキャリアを見てもわかる通り、エンジニアのゴールは必ずしもCTOとは限らない。その可能性は無限にあるといっていいだろう。実り豊かなエンジニア人生を歩見続けるために自分には何が必要か、折に触れて将来を見据えてじっくり考える時間を設けてみてはいかがだろう。

「生きる」をもっとポジティブに。

株式会社LiB
代表取締役:松本 洋介
 設立:2014年4月1日
所在地:東京都渋谷区桜丘町13-15 LiBz HOUSE
https://www.libinc.co.jp/

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