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効率化と理念の共有でエンジニアを生かすMUGENUPのチームビルディング術

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204日前

クリエイティブ制作に特化したクラウドサービスを展開する企業がある。MUGENUP(ムゲンアップ)だ。

同社の特徴のひとつに、社内アートディレクターが発注者と受注者の間に立ち、制作進行と品質管理を行う点にある。彼らは顧客からの依頼に応じて、3万6千人の登録クリエイターの中から、画力や画風などの条件に合った最適なメンバーを選定。クラウド上に仮想の制作プロジェクトを組成し、ゲームやアニメ、マンガなど用途に応じたイラストや3DCGを提供するビジネスで事業を拡大中だ

さらに現在では、このクリエイティブ制作だけでなく、クリエイティブ制作管理ツール『Save Point』(セーブポイント)やポートフォリオ共有サービス『Galleries』(ギャラリーズ)などの制作支援ツールの提供、また、イラストレーター向け情報サイト『いちあっぷ』やBL小説投稿サイト『fujossy』(フジョッシー)といったWebメディアの運営に携わるなど、事業の幅を広げている。

昨今、経営資源をひとつのプロダクトに集中投下し、最短でIPO(株式公開)まで駆け上がるITスタートアップが多い中、サービスの多角化を推し進めているのはなぜか。CTOの横山哲郎氏とSavePoint事業部でプロダクトマネージャーを務める脇恭介氏に聞いた。

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MUGENUPのエンジニア組織が小さい理由

 


 ▲ 株式会社MUGENUP CTO システム部 部長 横山 哲郎氏
 


 ▲ 株式会社MUGENUP SavePoint事業部 プロダクトマネージャー 脇 恭介氏
 

「私たちのビジネスの基本はB2B(企業間取引)。事業は拡大基調にはあるものの、クリエイティブ制作領域は、他のB2C(企業・個人間取引)と比較してみると、大きな伸びはあまり期待できない市場です。そのため『いかに数多く打席に立つか』にこだわって、これまで手堅い事業展開を行ってきました」

創業期から同社のサービス開発に携わっているプロダクトマネージャーの脇恭介氏も、次のように話す。

「いまでこそ従業員数は、アートディレクターを中心に190名ほどになりましたが、創業期から今日に至るまでエンジニアは常に10名以下。現在は6名で複数のサービスを見ている状況です。しかも、MUGENUPのエンジニアは、カスタマーサービスや顧客ヒアリングにも積極的に携わるため、業務の効率化には最大限の努力を払っています」

たとえばコミュニケーションにまつわる無駄な時間をなくすため、リアルコミュニケーションの場を、毎日の朝会と週1度の「会議デー」に集約し、進捗状況の管理はタスク管理ツールTrelloを活用することによって、極力開発に集中できる環境を整えているのだという。また、開発技法にアジャイルソフトウェア開発のひとつである「スクラム」を採用しているのも、効率化を念頭に置いているためだ。横山氏はいう。

「とはいえ、スクラムで定義されている膨大なプラクティスをすべて実行するのはかえって非効率。そこでチームメンバー全員で話し合い、必要なものと不要なものを峻別して自分たち流のスクラムを編み出しました。たとえば『スクラムマスターはプロダクトに関与しない』といった定義は、自分たちのやり方に合わないと判断して取り入れなかったもののひとつです」

このようにエンジニア同士が自由に議論できる雰囲気を保つためには、開発に対する理念の共有は不可欠だ。だからこそ、いたずらな人員拡大を避けてきた面もあると横山氏は言葉をつなぐ。

「理念や熱量が足りない人を集めても組織は機能しませんし、開発プロセスを効率化するにしても、作業プロセスの見直しやツールの導入だけで終わるものでもありません。エンジニア組織を適切に回すためには、理念の共有と適正規模を維持することも大事な要素なんです

担当者の熱量が高いビジネスが最後に伸びる

とはいえ、現在同社のビジネスは拡大基調にある。現状のクリエイティブ制作や制作支援ツールの外販、メディア運営に加え、今後は海外への本格進出や、イラストや3DCG以外のジャンルを開拓する可能性もあるだろう。そうなれば遅かれ早かれ、いま以上のエンジニアが必要になるはずだ。ではその日がやってきたらどのように対処するのか。

「もしそういうタイミングが訪れたら、10名程度の小ユニットを少しずつ増やしていくことになるでしょうね。そうすればユニット内で意識のすり合わせがうまくいかなかったり、開発効率が落ちたりするリスクを最小限に抑えられます。私は以前、金融系のSEとしてピラミッド型の組織で働いたことや、最小限のマネジメントしか行わないフラットな組織で働いたことがありますが、いまこの会社で目指しているのは、まさにその中間。現場に裁量を与えつつも、マネージャーもメンバーもそれぞれが目の前の仕事をしっかり認識し、チームに貢献できるような環境をつくりたいと思っているんです」(横山氏)

この話を踏まえ、脇氏は「仮にどれほどエンジニアが増えようとも『顧客志向』が組織の基本理念であることに変わりない」という。

「新しい機能を実装するにしてもしないにしても、決めるのは、顧客に利益や利便性があるか、価値の総量が大きいかという基準であるべきです。たとえマネージャーの指示があったとしても『これから自分たちがやろうとしていることは、本当に顧客価値があるのか』と、厳しい目で必要性を問えるようでなければいいサービスは生み出せません。そういう意味でも、サービスの開発・運営に対する考え方に共感してくださる方ならいつでも受け入れたいと思います」

MUGENUPのミッション

内部のアートディレクターの力量によって、高い品質のクリエイティブを提供してきたMUGENUPだが、今後はIP(知的財産)ビジネスなども視野に入れビジネスの拡大を狙う構えだ。

「冒頭にも申し上げた通り、クリエイティブ制作の市場規模が急速に伸びることはあまり期待していません。しかし、私たちがこれまで蓄えてきた制作ノウハウとプラットフォーム構築力を生かしてビジネスを伸ばすことは可能です。さらに小説や写真など、これまであまり手をつけていなかったクリエイティブ分野にも大きな可能性があると考えています。MUGENUPのミッションは、ビジネスを通じてクリエイターとして生きる人を増やすこと。個人と企業をつなぐために、ニーズを見極め解決策を提示していきたいですね」(横山氏)

自社サービスの運営と制作プロセスで培ったノウハウのパッケージ化によって、着実な経営を続けるMUGENUPで飛躍できるのは、顧客志向を大事にし、領域にこだわらない働き方を求めるエンジニアのようだ。

「先日、ある製造業のセミナーに参加し『担当者の熱量が高いビジネスが最後に伸びる』という話を聞きとても共感を覚えました。業種は異なりますが、MUGENUPも、仕事を『自分事』として捉え、行動できる人を大切にしています。こうした社風に興味がある方がいらしたら、ぜひお会いしてみたいですね」(横山氏)

もし、あなたが「自社サービスの開発を手掛けてみたい」「自主性が求められるエンジニア組織で働きたい」という希望をお持ちなら、一度、同社のWebサイトを覗いてみてはいかがだろう。新たなキャリアの扉が開かれるかも知れない。

創ることで生きる人を増やす

株式会社MUGENUP
代表取締役:伊藤勝悟
設立:2011年6月14日
所在地:東京都新宿区新小川町4-1 KDX飯田橋スクエア 3F
https://mugenup.com/

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