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ゆめみが機械学習と人工知能のビジネスサイエンスAIラボを設立した本当の理由

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146日前

2017年2月、スマホアプリの企画・開発を得意とする株式会社ゆめみが株式会社セレスと共同で、人工知能や機械学習の活用を研究する「ビジネスサイエンスAIラボ」(以下、AIラボ)を立ち上げた。

その第一弾の取り組みとして、セレスが持つ300万人を超えるポイント会員の行動履歴を分析し、広告配信の最適化に挑むが、AIラボ設立の目的はそれだけに留まらないという。その狙いについて、AIラボの中心人物である3人に話を聞いた。

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ビジネスサイエンスAIラボを立ち上げた理由

 

スマートフォンやIoTデバイス、ソーシャルメディアの普及により、膨大なデータが有効利用されないまま増え続けている。さまざまなデータから、ビジネスの成果につながる示唆を導き出し、具体的な成果に結びつけるために欠かせないのが、統計や機械学習、さらにはそれらを基礎にしたAI(人工知能)などの知見だ。事業会社のマーケティングシステムやスマートフォンアプリなどの開発を手がけるゆめみが、なぜAIラボ設立に踏み出したのか。その背景について、ビジネスプロデュースを担当する工藤元気氏は次のように説明する。


 ▲ 株式会社ゆめみ 取締役 ビジネスプロデュース担当 工藤元気氏
 

「ゆめみでは、以前から小売業や製造業のお客様からお預かりしたデータを解析し、スマートフォンアプリなどのプロダクトを最適化する取り組みを行っていました。しかし、今後発展が予想されるデータを活用したビジネスの可能性を考えると、さらなるノウハウの蓄積とデータサイエンティストの獲得は急務。そこで、機械学習や人工知能を活用したビジネスに注力する意思を外部に示す意味を込めて「ラボ」(研究所)として活動を開始しました

そのAIラボにとって第一弾となるプロジェクトが、セレスが手掛けるポイントメディア『moppy』の利用者データを解析し、広告配信を最適化するという試みだ。AIラボの所長に就任した齊藤祐輔氏は、同プロジェクトで得た知見をもとに、今後は広告領域以外にもデータの活用を展開したいと考えている。


 ▲ 株式会社ゆめみ CTO ビジネスサイエンスAIラボ所長 齊藤祐輔氏
 

「われわれの顧客の多くは店舗などリアルな場をお持ちの小売業や製造業です。しかし多くの企業が、データを十分に活用しているとはいえません。こうした現状を踏まえ、今後はオムニチャネルと呼ばれるネットとリアルを統合した経営戦略の立案や、消費者に対して新たな顧客体験を提供するようなシステムの開発に、こういったデータを組み合わせ、新たなビジネスを展開していきたいと考えています」

この目標を実現するために、もうひとつ取り組んでいることがある。迅速に導入が可能な分析基盤の開発だ。それはなぜか。

ビジネスへのデータ活用をどう進めるべきか

引用元: http://www.datascientist.or.jp/news/2014/pdf/1210.pdf

データを活用したビジネスには、上図のとおり「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」の3つが必要であるとされる。

「ゆめみには、これまでシステム開発で培ったエンジニアリング力と、お客様のビジネス上の課題を解決するビジネス力があります。ここにデータサイエンス力を組み合わせたサービスを提供していきたい。」と齊藤氏は言う。氏によれば、ビジネスにデータを活用するには、順を追って分析業務を進めることが重要だ。

いきなり機械学習などを始めても成果は出ない。ビジネスを正しく理解し、まずはスモールデータで統計分析をしっかりと行う。これが出来ていない会社が多いのだという。ビジネスとデータの両方を理解して初めて、ビッグデータを使った機械学習が大きな成果を生むようになるのだ。

「その第一歩として必要なのが、顧客の課題を分析する分析基盤の開発だと考えました。」データサイエンティストがデータを迅速に理解が出来る環境を作ることで、ビジネスサイドの課題と、その解決方法を発見することができるようになるのだという。齊藤氏は続ける。「お客様がお使いのシステムと業務をよく知る立場であるわれわれのノウハウが、分析基盤に活かされています。」

クラウドを活用した分析基盤の開発を目指す

VR/AIリサーチフェローとしてゆめみに加わった三浦テツンド氏を中心に、今年1月からこの分析基盤の開発に力を注いでいる。三浦氏は言う。


 ▲ 株式会社ゆめみ VR/AIリサーチフェロー 三浦テツンド氏
 

「クラウドベースで高速にビックデータを処理できる分析基盤の開発を進めています。具体的には、CSVファイルをAmazon S3に上げるだけで、クライアントPCからWebインターフェースでデータ分析を可能にする計画です。現在は、ダッシュボードツールのRe:dashと、Pythonの実行環境であるJupyter notebookをAmazon Athenaにつなぎ込む開発に取り組んでいます」

この分析基盤が優れているのは、データの分散処理として知られるHadoopやApache Sparkよりも迅速に導入できるという点だ。齊藤氏は、今年の夏までにこの分析基盤を完成させるという。これにより、機械学習の前段階としての分析を素早く行うことができるようになる。年内には同分析基盤に分散処理の仕組みも導入し、大規模な機械学習を行えるようにするとともに、その成果を顧客のシステム上に展開していきたいと話す。

この分析基盤が確立できれば、データサイエンティストの作業効率も劇的に向上し、モデルの精度向上にも寄与すると齊藤氏は言う。さらには、Webインターフェースであるため、マーケターや経営層であってもデータの分析に参加出来るようになる

開発担当の三浦氏は言う。
「スマホアプリやWebサイトはもちろん、店舗などのリアルチャネルから集めた情報も扱え、事前準備にあまり時間を割くことなく、簡単にログデータを分析できるようになる。クラウドベースの分析基盤はこれからのスタンダードになりうるもの。私たちが取り組んでいるのは、その先駆けとなるものなんです」

業界の先駆けとなる新たな分析基盤が生まれることによって、ビッグデータの分析が容易になり、自社でデータサイエンティストを抱えることが難しい事業者にも、データサイエンスの恩恵を届けることが可能になる。これまでデータ活用が行き届いていなかった分野の効率化が進み、利便性も向上するだろう。

あとがき

オムニチャネルという言葉が世に広まってから、早数年が経とうとしている。しかし、実際に導入し、活用している企業はほんの一握りと言えるだろう。齊藤氏が語るようにオムニチャネルには「ビジネス力」「データサイエンス力」「データエンジニアリング力」が必要であり、導入をするにしても、解析をするにしてもコストがかかり過ぎてしまい、見送っていた企業も多かったのではないだろうか。

同社の研究が成功すれば、飛躍的に導入コストも削減され、多くの企業で採用されることになる。そして、消費者もインターネットとリアルにおいてシームレスな消費体験を得ることになっていくだろう。

オムニチャネルは導入するにはとても難しい概念である。では、同社がなぜその難しいオムニチャネルという課題にぶつかっていくのか。それは、これまでも多くの企業と同社が正面から向き合い、ユーザー体験を高めることに全力を注いできたからであろう。この研究が成功し、多くの企業、引いては消費者により良い世の中をもたらしてくれることを筆者は陰ながら応援していきたい。

株式会社ゆめみ

代表取締役:片岡 俊行
設立年月日:2000年1月27日
東京本社:東京都世田谷区三軒茶屋2-11-23 サンタワーズB棟 7F

https://www.yumemi.co.jp/

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