ゲーム動画配信プラットフォーム「OPENREC.tv」開発責任者が教えるサービスをグロースさせるために大事な3つのこと

alert最終更新日から半年以上経過した記事です。
ゲーム実況やプレイ動画、ライブ配信が楽しめる、新しい動画コミュニティアプリである「OPENREC.tv」を運営しているCyberZの開発責任者中村智武氏に、サービスをグロースさせるために大事なポイントについて話を伺った。

OPENREC.tvとは

サイバーエージェントグループの中で最も勢いがあると言っても過言ではない「CyberZ」。スマートフォンマーケティングに特化した広告代理店である。

その同社が今、大きく力を入れているサービスがOPENREC.tv(オープンレックティーヴィ)である。OPENREC.tvはゲーム実況やプレイ動画、ライブ配信が楽しめる、新しい動画コミュニティアプリ。

OPENREC.tv

読者の皆様はe-Sportsという言葉を聞いたことがあるだろうか。世界的な規模の大会なども開催されており、アマチュアから年収1億円を超えるプロゲーマーまで存在する。プロチームやプロリーグも多数あり、世界のe-Sports競技人口は5,500万人以上となっている。

特に『League of Legends』や『スタークラフト2』はプロフェッショナルスポーツとも認定されるほどだ。日本にもプロゲーマーは存在しており、今後の動向が注目されている市場だ。

そんなゲーム業界を盛り上げているのが、ゲーム動画配信プラットフォームである。海外ではTwitchがAmazonに買収されており、投資市場でも注目の的だ。

日本のゲーム動画配信では、ニコニコ動画やYouTubeなどが使われている背景があり、OPENREC.tvは当初マーケットからはなかなか受け入れられなかった。

ただ、その状況も徐々に変化を見せ、最近では、あるゲーム系インフルエンサーがソーシャルメディア上でアンケート集計したところによると、使いたいゲーム動画配信プラットフォームとしてOPENREC.tvを推すユーザーが増え、他社サービスを抑える結果になっている。

そして今も尚、進化を続けるOPENREC.tv。その開発責任者である中村智武氏に「サービスをグロースさせるために大事な3つのこと」を聞いた。

大事なこと1:「実装→テスト→チューニング」をひたすら繰り返すこと

「OPENREC.tvのウリは何か?」と中村氏に聞くと、その「レスポンスの早さ」と瞬時に答えてくれた。同サービスは、動画を録画・放映をしながら、ユーザー間のリアルタイムコミュニケーションを実現しなくてはいけない。

ただ、これを実現するのは並大抵のことではない。某大手動画共有サービスでも高画質なライブ配信の映像がユーザーに届くのに20秒程度のタイムラグが発生してしまう現状がある。

このタイムラグが大きければ大きいほど、プレイ動画は流れているのに、後からメッセージが届くということになってしまい、ユーザーの没入感は下がってしまう。ただOPENREC.tvではその半分である10秒以下にタイムラグを抑えており、ユーザーはほぼ感じない程度にまでチューニングを行っている。

「リアルタイムなレコーディングや、高画質なライブ配信の視聴をスマホの中で行うのですが、メモリなども問題がどうしてもつきまといます。それを要素ごとに解剖しながら、一度実装されたプログラムで何度でもテストとチューニングを繰り返す。特に Androidは端末依存や機種の特徴もあるので、テストはどうしても多くなる。これはとても根気のいる作業だが、これこそがサービスを支えていると思っている。一緒に戦ってくれる開発メンバーには本当に感謝したい。サービスに完成はないと考えます。だからこそ、より良いサービスになるように改善を続けています。」(中村氏)

筆者の調べでは、世界には2万4000もの、 Android端末は存在しているとのこと。上位機種だけに絞り込んでも、数百種類の端末が存在することになる。これは気の遠くなる作業だ。膨大なテストとチューニング。これがOPENREC.tvを支える礎になっていると言っても過言ではない。

大事なこと2:「サービスとユーザーに向き合う」こと

動画を見たり、共有したり、メッセージのやり取りをするにあたり、どうしてもネックになってくるのがパケット通信問題である。動画や画像コミュニケーションが増える中でどのサービスでもぶつかる壁かも知れない。

「OPENREC.tvでは、通信環境によって綺麗な状態でビットレートを自動的に落とすという設定を行っています。作っている段階でもユーザーへのヒアリングや、自分たちもたくさん使ってみて、その結果をすぐにサービスに反映させている。常にユーザーの環境や立場を考えることは、とてつもなく大事です。」(中村氏)

中村氏にサービスをやっていて一番嬉しかった瞬間を聞いたところ、ユーザーから「OENREC. tv って、ゲームと向き合っているんですね!」とか「使いやすい!」という声をもらった時だそうだ。この辺りもサービスとユーザーに真摯に向き合っているからこその、中村氏の考え方だと感じた。

大事なこと3:「代表(責任者)の理解と技術者との信頼関係」

OPENREC.tvは前述した通り、順風満帆に全てが進んでいった訳ではない。

当初はどうしてもPV数、アクセス数、ユーザー数などにこだわっていた。真剣に、責任を持ってサービスをグロースさせようと開発チームのスタッフが考えると、それは必然であると思う。しかし、なかなかその数値はついてこなかった。中村氏も「当時はどうしても目の前の打ち手ばかりを考えてしまいがちでした。」と語る。

そんな2015年10月に同社代表である山内隆裕氏は中村氏に「収益とかユーザー数などはとりあえず良いから、最高のものを作って欲しい。」とオーダーをする。中村氏は「その一言に本当に救われました。」と当時を振り返る。

「山内があの様に言ってくれたからこそ、僕達はひたすら良いものを作ることだけに集中をすることができました。そこから徐々に、徐々にユーザーがついてきたということが正直なところです。」(中村氏)

これは筆者の想像ではあるが、開発者たちの熱意、こだわり、責任感などを感じ、山内氏も投資をしていこうと決めたのではないだろうか。経営者と技術者の信頼関係があってこその判断であり、これは並大抵のことではないと考えている。

まとめ

中村氏は私達に以下の3つの大事なことを教えてくれた。

1:「実装→テスト→チューニング」をひたすら繰り返すこと
2:「サービスとユーザーに向き合う」こと
3:「代表(責任者)の理解と技術者との信頼関係」

上記のことは、当たり前のことかも知れない。ただ、これを実践できているサービスはあまり多くないのではないだろうか。

筆者は今回のインタビューを通して、ビジネスサイド、技術サイド、そして経営サイドが良いものを作ろうと真摯に取り組むCyberZ社の姿は本当に美しく感じた。