6回の転職をして10社を経験した是澤さんがいちエンジニアとしてSpeeeに入ったらいろんなことが面白くなってきた話【前編】

6回転職をして10社もの会社を経験した是澤太志さんが辿り着いた先はSpeee。そのスピリットであるSpeeeカルチャーに心打たれたからだ。積み重ねてきたキャリアを捨て、いちエンジニアとして再出発した。そしていま、Speeeの組織作りに奮闘する日々を過ごす。そんなベンチャー時代の志士、是澤さんにエンジニアとしてのビジョンを伺った。

面白ければいいから、どんなポジションもやってみる

──是澤太志さんの現在の仕事を教えてください。
立場としてはエンジニアマネジメント責任者とエンジニア採用責任者を務めています。まぁ、基本的にエンジニアがやりたがらない面倒なことを全部やるのが仕事です(笑)。 具体的には、エンジニアが開発業務や技術を伸ばすことに専念できるように制度やルールを考え運用していくことや、エンジニア採用活動、それに関わる広報活動をしています。そのため大半の時間を面接や面談、ミーティングなどにつかっていますね。あとは、広報的な仕事でこういったインタビューに答えたり、イベントに出演したり。基本、夜は飲みに行ってます。飲みに行くのは業務としてだけではないですが(笑)。



──是澤さんは経歴が面白いですね。
渋谷がビットバレーと呼ばれていた2000年に、愛媛のベンチャー企業に就職したのがキャリアのスタートでした。もともとは企画志望でしたが、プログラム経験があるということからエンジニアになりました。その当時の上司がいま、リアルワールド代表取締役の菊池誠晃さんだったりします。1年くらいで辞めて上京し、もともと興味のあったゲーム業界でエンジニアとして働いていました。

20代の頃は自分の技術を伸ばしたくて転職していました。「会社でトップの技術力を持ったエンジニアになる」という目標を据えて、実力がついたら違う会社に行っていました。30歳になった頃に起業したりフリーランスを経験したことで、ビジネスへの理解も深まりました。その後はマネジメントに興味を持ち、技術責任者やCTOなどを経験しています。

Speeeに入社したのは本当に偶然なんです。もともとは入る気はなかったんですよ。でも、面接を受けたら代表取締役の大塚が凄く面白かったんですよね。この人めっちゃ本読んでるし哲学してるなぁと思いまして。それでもう一度、現場でエンジニアとしてSpeeeに入社して勉強したくなって。それで最初は「プロダクト作るぞー」といったノリでリードエンジニアをしていました。それがいろいろと課題解決をしているうちにいつのまにかPM(プロジェクトマネージャー)をやるようになり、アドテク事業の立ち上げから開発責任者をやるようになり、新卒教育や採用も担当するようになりました。いつの間にか組織まわりの仕事のウェイトが増え、入社2年が過ぎた頃には開発マネジメントとエンジニア採用のウェイトが増えてましたね。

──現在はエンジニアのマネジメントがメインの業務なんですね。
社員、業務委託の方、開発会社のパートナーも含めると全部で50名くらいのエンジニアの方とお仕事させていただいてます。そして組織的な面では元クックパッドの技術部長をされていた井原正博さんに支援してもらっています。

──いちエンジニアとしてやろうと入社されたのにマネジメントになったことでの戸惑いはなかったのですか?
役員的なポジションの経験はあるので、そこでの戸惑いはなかったですね。基本的に僕は面白ければいい、と考える人なんですよ。どんなポジションをやっても会社に貢献できる自信はあります。というかSpeeeでつきました(笑)。

でも、「採用をやってくれ」といわれたときはちょっと悩みました。「採用?専門的にやった経験はないし、成果が残せるのか?」という感じで。「エンジニアの採用はエンジニアにしかやれない」と理論は分かっているものの、採用で成果を残せる自信は最初はなかったです。でも「やるしかない」と思って腹くくってやってみたら、採用も営業活動や事業と一緒なんだなと気づきました。

それに、採用活動は採用を通じて成果をあげていくことなんですよね。そのためには僕らよりも凄い人に入社してもらって、その人たちが活躍できる環境を整えることが大切で、そのことを広報することも含めて採用なんです。結果的に会社組織を創り上げることにつながる。採用を始めた半年くらいは役員とケンケンガクガクやっていましたが、いまでは役員にリクエストを出したり、一任して自由にやらせてもらったり、わりと自由度高い仕事スタイルでやらせてもらっています。基準が摺りあって信頼関係が生まれているからできているとは思うんですが、おかげでスピード感が出せてやりやすいですね。

例外や多様性を認めることが組織に必要

──Speeeがやりやすい会社である、という理由のひとつにSpeeeカルチャーがあるとのことですが。

Speeeカルチャーというは、「人と組織の理想のあり方」を定めた指針です。当たり前のことを当たり前に言っているだけなんですが、それを社員全員が前提として認識し行動できているというところが大きいですね。僕がSpeeeに入ろうと思ったきっかけのひとつがSpeeeカルチャーがあったことでした。「セクショナリズムとか面倒なことなさそうだな」と思ったんです。あと失敗を他人のせいにするようなヤツとは仕事したくないし、そんなことで事業のスピードを落とすのは一番イヤなんです。そんなことや人間関係で悩みたくてベンチャーにいるわけじゃないですからね。

──Speeeカルチャーによって逆に縛られる、ということはないですか?
約500人もの従業員を抱えているので、いまは会社としてある程度の規律は必要なフェイズなんですよね。なのであるべき姿や理想を定義しておくことは経験上凄く大事だと思ってます。Speeeカルチャーみたいな一緒に働きたい理想の人を定義しておくことは、規模感にかかわらずだとは思いますね。ただ、僕たちは制約やルールを決めることはあまりしたくないんですね。基本的には「モラルを大切にしよう」という考え方です。モラルでどうしようもできなくなってきたら制度をつくらないといけないんです。ただし、ベーシックなルールは制度としながらも、成果を目的として例外や多様性を認めることも必要だと思っています。

いまは完全にリモートワークにはなっていないんですが、台風が直撃して電車が止まっているのに会社に来ないといけないのは全く意味がないですよね。だったらそんなときは自宅でのリモートワークは認める。最も成果を出せるように環境やルールを変化させていくことが大事だと思うんです。例えば、海外の方とリモートで仕事をしていて時差があるなら、通常の勤務時間ではなく、ずらしたりフレックスにしたり。必要に応じて柔軟に適用をしていくべきだと思います。もしかしたら夜のほうがコード書くことに集中でき成果を大きくあげる人、とかも今後でてくるかもしれませんし。

──確かに、夜の方が能率はあがるという人はいますよね。
だから、その人次第だと思います。制度やルールはちゃんとそれで成果を残せる人だけが得られるものにすることが大事だと思います。

──オフィスもオシャレで、共用スペースにはカフェスペースもある。職場がリラックスできる空間になっている、というのは社員のことを考えている会社なんだと思いました。

ここ1、2年ですが、ようやくそういうところにも投資できるようになってきました。やはり、人生の大半は仕事に費やすので、仕事をしている時間をいかに有意義にするかというのは重要だと思います。あと、役員と現場をつなぐことに役立っていることも感じますね。代表の大塚は、カフェスペースのカウンターでコーヒーを飲みながら社員と雑談してる姿もちょこちょこ見かけますね(笑)。

失敗していない方がヤバい

──いまのエンジニアをどのように評価していますか?
純粋に技術の可能性にかけているエンジニアが減ってきた?という気がしています。僕はエンジニアに「どこまで技術が好きなの?技術で世の中をどう変えたいの?」と聞きたいです。技術って唯一、文化や言語の壁を越えて世界に飛び出していけるスキルじゃないですか。でも最近は、仕事の延長で技術をやっていて、自分の世界観を描いたり哲学しているエンジニアが減ってきたなぁと感じることがあります。

──技術が好き、といっても実際には仕事の範囲を超えていない?
OSS(オープンソースソフトウェア)活動とか、技術で世の中を変えていく人は多くの人を幸せにできると思うんですよ。技術は社会活動までたどり着くと思うんですが、そのレベルまでやりたいという意欲を持っている人はあまり出会えてません。大半は生活の糧としてやっている人。そこを変えていきたいなぁと凄く思っています。なので、SpeeeのエンジニアにはOSSポリシーがあって、業務時間中でもOSSの開発や支援などをするためのルールを決めています。

──Speeeはエンジニアが技術力を磨くにはいい環境ですね。
エンジニアは技術力を磨いてこそ、価値になると思うんです。会社組織はそういうスペシャリティのある人が融合するから大きな成果が出せる。強みの総和というか、強みをどう活かすかがマネジメントなんです。個々の強みを活かしてクオリティの高いものを創り出すことが大事。そのための圧倒的な強みが競争力になって、競合にも勝てる。そのなかでエンジニアは技術領域での強みを担わないといけないので、”ビジネスは苦手だけど、技術力がめちゃめちゃ凄い人”を活躍させ、大きな成果を出せる組織になることが重要だと思っています。

──マネジメントするためにはその人の得意な領域を把握しておかないといけませんね。
伸びない人は自分のやりたいことと得意なことがアンマッチを起こしている、ということがよくあるんですね。そうすると強みが消えていってしまう。そこに気づかせてあげる、という感じです。でも、矯正させるのとは違うんです。自分で気づいて自分で修正しないといけない。そうでないとずっと支援していかないといけない。それでは会社にとってコストでしかないし、本人も楽しくないですからね。

──気づかせてあげるというのはすごく難しいですよね。
なので、許容するある程度の助走期間は必要です。その期間は本人も辛いですが、成果が出るようになると、自由も得れますし、市場価値もあがり給与もあがる。もちろん、成果の出ない人は下がることもあり得ますけど。

──厳しいですね。
僕は年功序列の方が厳しいと思います。成果を出しても給与があがらない世界の方が僕はイヤですね。20代でも1000万円以上もらえるっていうのは夢のある話だけど、500万円が上限だといわれるとぜんぜん頑張れない。それが理由で辞めている会社もあります(笑)。極端な話、年間100億円稼ぐ人は年間1億円ぐらいもらってもおかしくないと思うんです。

エンジニアは、自分の出した成果を市場価値的に判断されるかどうかが一番大事だと思います。市場価値で判断されてこそのエンジニアでしょう?、と。でも、技術は風化するので、自分の技術成果が市場価値を満たしていなければ下がるのは当然のこと。だからこそ、好きな領域で頑張っていくことは重要だと思うんですよね。

──確かにその通りですね。
僕の描きたい世界というのはそこなんです。僕はサッカーが好きなんですけど、ヨーロッパサッカーの移籍市場みたいに、エンジニアも高額な移籍金で移籍してもいいレンタル移籍もあっていいと思います。「うちの会社ではまだ、この技術はニーズがないので、そちらで修業させてください」といって成長と活躍の場を与えてあげる。

人材は企業間でシェアすべき時代もくるのかなぁとも思っています。自分の会社にとある技術で優秀な人材がいる、いつか活躍すると思っているのでいてほしいけど、現状は活躍してもらう場所がない。そんなとき、そのエンジニアは転職に動き出す。そうすると優秀な人から辞めていってしまう悪循環にも繋がることもある。企業にはなにもプラスにならない。だったら違う会社で活躍できるように送り出してみる。そうすることで企業間でアライアンスを築ける。

──エンジニアが完全移籍するときは企業から契約金を取って、また高く売れる新しいエンジニアの教育に使う(笑)。
ヨーロッパサッカーをみるとそういう考えもありますよね。ちょっと人を売って儲けるというのはどうかとは思いますけど…。ただ仮にそういう世界になったとして、技術力のない人は移籍リストには載ってこないでしょうね。でも、実力をつけたら世界に出て、より高い報酬と知名度を得て活躍できるかもしれない。そうすると技術を磨いて頑張ろうという気が沸いてくと思いますね。

──スポーツ選手のように歳を取ったら技術力が落ちる場合もあるだろうし……。
いや、優秀な人ほど技術力は落ちないんですよ。そういう人は好奇心からやっているから常にポテンシャルが高い。たとえばメルカリさんは優秀なエンジニアはたくさんいらっしゃいますが、35歳を超えている経験値の高い人も多いと聞きます。技術への強みとこだわりをもち、プロ意識高くやり続ける人はどんどん成長する。それには際限がないんです。これも夢のある話だと思います。

──エンジニアのポテンシャルは年齢とは関係ない?
関係はないです。ただ定説とかで都市伝説的にそう思っている人がいるというだけの話。エンジニアに限らずですが、そういう人は考えが凝り固まって、チャレンジすることは悪だと思って行動しなくなるんです。でも、チャレンジするからこそ失敗経験というナレッジが溜まって伸びていく。いろんな方向で物事を考えることができて、他の人には思いつかない解決方法を提案できる。

芸術家やアーティストにしても年をとることでテクニックは衰えない。逆に自分にしか描けない味となったり、他人には表現できない世界観が出てくるはずなんですね。つまり、リスクを取ることを恐れチャレンジから逃げた瞬間から老化していくんです。

あとがき

前編では是澤さん自身経歴とSpeeeでの役割、そこで働くエンジニアの状況について伺いました。次回の後編では、是澤さんが考えるエンジニアの未来と、今後やってみたいことについてです。

株式会社 Speee

解き尽くす。未来を引きよせる。
代表取締役:大塚 英樹
設立:2007年11月29日
本社:東京都港区六本木4-1-4 黒崎ビル5F
http://www.speee.jp/