AIに関心があるエンジニア必読|R&Dとエンジニアリングをつなぐ人材を目指せ

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ソーシャルメディアの利用者は世代を超えて拡大しており、企業のマーケティング戦略を考える上で無視できない存在になっている。とはいえデジタルコミュニケーションに長けた企業ばかりではない。とくに中小企業の場合、各プラットフォームの特性を理解し、適切なアカウント運用を行える人材はおろか、マーケティングの専任担当者さえいないこともある。ホットリンクの「BuzzSpreader」(バズスプレッダー)は、こうした企業のために開発されたAI搭載のソーシャルメディアマーケティングツールだ。今回はホットリンクの開発陣に、BuzzSpreaderの優位性やAIを活用するプロダクト開発に携わる人材の条件などについて聞く。

<お話を伺った方>
株式会社ホットリンク
開発本部 R&D部 部長/工学博士
榊 剛史氏
修士課程修了後、電力会社に勤務。大学院に再入学し博士号(工学)を取得する。東京大学坂田研究室特任研究員を経て、2015年、ホットリンクに入社。専門は人工知能、自然言語処理、Webマイニングなど。東京大学政策ビジョン研究センターの客員研究員も兼務。

開発本部 開発第一部
プロダクトマネージャー
太田真明氏
自ら創業した会社で、BtoC向けのコミュニティサービスの立ち上げを経験後、転職し、決済系サービスやウェブ接客ツールの開発などに従事。2017年、ホットリンクに入社し、現在はBuzzSpreaderのプロダクトマネージャーを務めている。

開発本部
APIソリューショングループ
河野宇朗氏
大手SIerを経てのSEからプログラマーに転身。ウェブ系の業務システム開発、アンドロイドアプリの開発などに従事した後、2017年、ホットリンクに入社。現在はBuzzSpreaderのバックエンドエンジニアとしてAPI開発などに携わっている。

BuzzSpreader(バズスプレッダー)とは?

BuzzSpreaderは、ソーシャルリスニングツールとして定評のある「クチコミ@係長」を開発したホットリンクが、2018年5月にリリースしたソーシャルメディアマーケティングツール。マーケティングプロセスの自動化とエンゲージメント率の向上を目的に開発され、広告出稿、アカウント運用、分析・レポーティング業務をサポートするだけでなく、ハッシュタグレコメンド機能(Instagram)や広告のキーワードターゲティング最適化機能(Twitter)など、数々のAI機能を搭載している。→ 公式サイト

AIを駆使しマーケティング業務を革新する

BuzzSpreaderは、ソーシャルリスニングツール「クチコミ@係長」で知られるホットリンクが開発したソーシャルメディアマーケティングツールだ。ソーシャルメディアのアカウントの運用から広告管理、レポーティングまで、幅広い機能をサポートしている。

だが、ソーシャルメディアマーケティングツールは需要が多いゆえに競合する製品は少なくない。BuzzSpreaderのプロダクトマネージャーを務める太田真明氏は、同ツールの強みを次のように説明する。

「BuzzSpreaderの強みは、ホットリンクが長年ソーシャルデータ解析に携わってきた経験と知見が詰まったツールだということ。現在BuzzSpreaderには、2008年にリリースしたクチコミ@係長で培った、高度なテキストマイニング技術と機械学習技術の成果が数多く盛り込まれています」

すでに、Instagramに投稿する予定の画像から効果的なハッシュタグをレコメンドする機能や、コミュニティクラスタ分析から得たキーワードを使って、より効果的なキーワードターゲティングを行う機能などが実装済だ。今後も順次機能を拡張する予定だという。

「今後も引き続きAI機能をさらに強化し、自動化できる業務範囲や対象となるソーシャルメディアを拡張していく計画です」

しかし「ソーシャルデータの解析は一筋縄ではいかない」。というのは、R&D部部長としてホットリンクのAI技術を牽引する榊剛史氏だ。同氏はホットリンクにおける業務の傍ら東京大学の客員研究員として、人工知能、自然言語処理の研究にも携わっている。主な研究テーマは、Twitterなどのソーシャルメディアからの有用な情報の抽出や、ソーシャルメディアユーザの影響力がどのように伝播するかを測定、解析することだという。榊氏は続ける。

「たとえば新聞のテキスト構成はある程度定型化されており、語彙も比較的限定されているのですが、ソーシャルメディア上を流れるテキストは、それに比べて実にさまざま。新しいキーワードが続々と登場しますし用法も多様です。さらに非常に活発に発言する人とそうでない人がいたり、発言内容が著しく偏向している人が少なからずいたりしますので、補正が欠かせません。ソーシャルデータからマーケティングに有益な情報を引き出し、機能に実装するには、相応の技術と経験が必要なのです」

そうした苦労が伴っても大量のテキストデータや画像データを解析し、マーケティングに活用しうる機能に落とし込むのは顧客ニーズがあるからにほかならない。

「とくにTwitterのツイートデータは、ほかのビッグデータよりもリアルタイム性が高く、ツイート全体を俯瞰すると現実社会の写し絵のようでもあります。しかもTwitterのツイートデータは公開データであるため、他の統計データや企業が保有する各種アクチュアルデータとかけ合わせやすい。ソーシャルメディアが生活の中に浸透しているいま、BuzzSpreaderのようなツールの存在は、これからのデジタルマーケティングに不可欠なものになっていくはずです」

プロダクトマネージャーの太田氏も口を揃える。

「とくにマーケティング担当者やソーシャルメディア担当者がいない小さな会社は、総じてマーケティング予算も広告予算も少ないのが現実です。私たちの使命は、規模が小さく万全の体制、予算が確保できない会社であっても、効果的なソーシャルメディアマーケティングが実現できる環境を整えることにあります。マーケティングプロセスの自動化とマーケティング精度の向上を実現させるためには、AI技術をベースに優れた機能を生み出す人材とその機能を的確にサービスへと実装できる人材が欠かせません。ホットリンクでも双方の人材を求めています」

AIサービスの開発にはどのような人材が必要か?

BuzzSpreaderはAI技術を活用したツールではあるが、フロントエンドエンジニアやバックエンドエンジニアの活躍なくしてサービスは成立しない。BuzzSpreaderのバックエンド開発に携わる河野宇朗氏は、開発現場で求められる人材を次のように語る。

「BuzzSpreaderは、ツイートのようなリアルタイム性が高いソーシャルデータを扱いますから、私のようなバックエンドエンジニアにとって、高速な処理速度を実現するのは重要なミッションです。何らかのバックエンド開発経験を持ち、AWSのLambdaのようなサーバレスアーキテクチャなど、最新のインフラ環境にも関心があることが、重要なポイントになると思います」

榊氏によると、フロントエンドエンジニアについては「データ分析においては結果の可視化がとても大事なので、フロントエンド開発経験も十分に活かせる余地がある」とする一方、R&D部に在籍するAIエンジニアに関しては、数学に対する素養があるかどうかが採用における大きな関門になると話す。

「当社のR&D部に在籍しているのは、大学院や民間企業で研究員経験があるメンバーが中心。データ解析やデータモデリングには、どうしても修士レベル以上の数学力が求められるためです。そのためポスドクからの転身組や学生時代に数学や物理学を修め、一度は民間企業でエンジニアリングの道に進んだものの、再び研究寄りの仕事がしたくてうちに入社される方がほとんど。これらのいずれかに当てはまる人であれば、活躍のチャンスがあると思います」(榊氏)

ただ、エンジニアに関しては多様な志向を持った人材が必要だと太田氏はいう。

「ゴリゴリ開発する人も必要ですし、ビジネスに興味のあるエンジニアも必要です。ここにいる河野のようにバックエンドエンジニアの立場から、サービスに必要な機能や性能をR&Dに要望を伝え、研究開発の成果をサービスに実装する際に生じがちなギャップを埋められる人材も欠かせません。サービス開発には多様な人材が必要なのです」

「多彩な人材がいるからこそ、研究開発とサービス開発の歯車がうまくかみ合う」と榊氏も頷く。

「R&Dはどうしても技術シーズからサービスを構想しがちです。しかしそれに終始していては、なかなかユーザーの支持は集められません。なぜなら顧客が潜在的に求めているものは、ニーズとシーズが重なる部分にこそあるからです。ですからわれわれR&D部は、広告運用チームや開発チームとの連携を重視し、技術を通じてお客様にとって有益な成果を上げることを念頭に研究開発を行っています。研究開発のための研究開発では意味がありません」

太田氏は「エンジニアがAI技術に携わる方法はいくつもある。求められる素養やスキル、果たすべき役割は異なるが、共通するのは『技術で現状の課題を解決したい』という気概や意欲ではないか」と話す。

「AIサービスが多くの方々に使っていただくためには、分析ノウハウや分析基盤、AI技術、サービス開発能力が高いレベルで統合されなければなりません。決して容易なことではありませんが、軸足となる技術力と経験、ソーシャルメディアマーケティングに困っている企業の助けになりたいという目標さえあれば、このサービスを通じて世の中にインパクトを残すことができるでしょう。私たちはそういう人材を求めています」

ホットリンクは、キャリア形成支援の名のもと、若手エンジニア向けのAI教育や技術支援に積極的に取り組んでいる。また。東京大学をはじめとする最先端のAI研究を行う学術機関との関係も深い。AIを駆使するサービス開発に携わりたいエンジニアにとって、絶好の環境があるといえるのではないだろうか。