モバイルゲーム会社ORATTAの成長戦略 「テクノロジードリブンで突き抜けたプロダクトを!」代表取締役CTOのORATTA上杉氏へインタビュー

モバイル向けゲームアプリを運営する株式会社ORATTAは2016年6月に東京・自由が丘のイタリアンバルにて「VR LOUNGE」を一般向けに開催した。それに合わせ、VR(仮想現実)などのR&D(研究開発)を行う子会社「ORATTA Techne」の設立を発表。創業6年を迎え、更に成長しようと試みる同社と、現在のモバイルゲーム市場に関して、代表取締役CTOである上杉健太郎氏にインタビューを行った。

ORATTAがVRの分野にチャレンジする理由

なぜ、モバイル向けゲームアプリで順調に成長されている御社がVRの分野にチャレンジをすることになったのですか?

上杉氏:VR(仮想現実)やAR(拡張現実),MR(複合現実)といった「視覚で現実を拡張」する技術はゲームとして大きな可能性があり、その市場にチャンスがあるからです。ORATTAではOculusのDK1時代からVRの研究開発は進めていて、1年くらい前から少しずつプレマーケティングをやっていました。3月くらいからVR技術への投資を強め、5月に開催されたGREEさんのJapan VR Summitにも協賛させていただいています。

現在のモバイルゲーム市場は、ヒットが出れば大きなチャンスがある市場ですが、開発資金が3~5億と言われるなかで、打席に立ち続けるだけの体力がある企業が少なくなってきています。ビックプレーヤーの一人勝ち市場へと進んでいます。その中でORATTAがどういう状況かでいうと、組織や技術の地道な積み重ねの中でヒット確率は上がっており、ヒットを安定して作れる状況ではありますが、今から一人勝ちの状況を作れるとは思っていません。

今後もモバイルゲームを主戦場としてホームランを目指していくけれども、そこで事業的に立ち止まるのでなく、別のバッターボックスを見つけてチャンスを広げる必要があるかなと思っています。

バッターボックスの種類を増やすために、VR/ARやPWAなどのR&D(研究開発)を行う「ORATTA Techne(オラッタ テクネ)」を2016年4月に設立しました。ORATTA Techneでは次のメインストリームとなりうる分野を研究開発し、実際に今できるプロダクト化を行い、パブリッシャーとしても活動していきます。

その中で実際に研究分野自体がメインストリームになってきた段階でORATTA本体のゲームのノウハウと合わせて、新しい市場でのシェアを取りに行きます。

ソーシャルゲームとVRというのはどのようにからみ合っていくと考えますか?

上杉氏:僕自身が実際に体験をしたことなのですが、違う場所にいるプレーヤーとVRビリヤードゲームで対決をしたことがあるんです。実際には台もキューも玉も相手もその場にはいないわけですが、一緒にプレーをしている。「これはソーシャルなのではないか?」と実感をする機会でした。

実際に話しかけてくるし、良いプレーをする場、賞賛もしてくれる。モンスターハンターなどもそうですが、物理的距離が離れている仲間と実際に同じギルド(場)でプレーをする。それはVRという技術を使っても実現できる、私達の創業総業から培ってきたノウハウも活かすことができると考えています。

当たり前ですが「誰かと交流する」ということがソーシャルゲームの真髄なのですが、VRで誰かと交流するということはとても面白いと感じています。1対1というのは基本的なゲームの交流方法ですが、それが多数での交流方法、例えばサバイバルゲームのようなものが、実際に作り上げることができると。

僕が感じたあの1対1でのVRビリヤードゲームでさえ大きな感動でしたから、これが多数のネットワークになってくれば、それはとても言葉では言い表せないような感動をユーザーに与えることができるのではないかと思っています。

VRは技術的にどのように作り上げていくのですか?また難しい特別な技術なのでしょうか?

上杉氏:ORATTAではUnityを使っています。実際にやってみた感覚では、そこまで難しいという感覚はありません。理解のある人がしっかりと準備を整えておけば十分対応はできると思います。

2015年12月にリリースした「戦国アスカZERO」というネイティブゲームがあるのですが、実際のその世界を歩きまわるというVRであれば2週間程で作ることができました。たしかにUnityの拡張機能としてミドルウエアを作ってしまったので楽にできるというのもあるのですが、Unity側でも今後追加で機能を加えていくことになると思うので、もっと楽になっていくのではないでしょうか。

VRのゲーム作りは簡単にいうと「3Dのゲームを作ってからVR化していく」という作業です。作業比率としては9対1くらいの割合だと思ってもらえればいいですね。

VRゲームを作る時のコツのようなものはあるのでしょうか?

上杉氏:色々ありますが、最近気にしているのは、周囲を見渡すアクションが必要になるような機能を盛り込むことです。周囲を見渡すようなカラダの動きとリンクして視野が動くことによって、脳の錯覚により没入感を増幅させることができます。周囲を満たすアクションがない状態で、目の前だけ見ているのでは、映画を見ているのと変わらなくなってしまいますよね。

VRゲーム作りにおいて今後の御社の方針を教えて下さい。

上杉氏:数多く作り、蓄積することが大事だと思います。ORATTAの技術開発ではとにかく「蓄積」することにこだわっており、最初に蓄積するための基盤を揃えてから開発を始めます。もちろん、ORATTA TechneでのVR開発も同じように進めます。そのためにはゲームにこだわらず、色々な分野で様々なプロダクトを作ってみたいと考えています。

ゲーム以外のプロダクトを作っていく理由は、もう一つあります。それはVRゲームの市場環境です。

現状リリースされているVRゲームには月商数千万円のものも複数存在し、且つ開発費も数百万程度に収まっています。ただ2016年の冬くらいには、ゲームクオリティのデファクトが上がり開発費が高騰すると予測しています。

VR用のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)の2017年末までの販売数は800万台と予想されていますが、HMDの出荷台数が十分に増える前に早いタイミングで競争の激しい市場になるのではないかと考えています。そして2020-25年の間でHMDが十分に市場へ浸透し、VRゲームが魅力的な市場に成長すると予測しています。

ここでお話した「厳しい時期」にも「VRの価値」自体は変わりませんので、ソリューションビジネス分野では、プロモーションなどにも活用されるケースは多々あると思います。ゲームに限らず、広く視野を持ちながら他の分野でもプロダクトを作っていくことで常にVR技術の一線に立っていることを考えています。

VRは可能性がとてもあるように感じました!上杉さんの思うVRの弱点はあるのでしょうか?

上杉氏:VRのHMDは視野を完全に覆ってしまうので、生活に溶け込むということはないと考えています。どんなにコンテンツが良いものだとしてもスマートフォンのように電車に乗っている時間にプレイするということはないかなと。

従ってスマートフォンの時にそうだったように、爆発的なスピードで一般ユーザに普及するとは思っていません。もちろんゲームユーザをターゲットとしたVRの可能性は十分にあると考えてますが、一般ユーザ向けはVRよりARやMRのほうが普及していくのであろうと予測しています。ORATTA TechneではVR,AR共に可能性を探っていきたいと思います。

ORATTAがチャレンジする今後の方向性について

新しい分野にチャレンジしていくORATTAですが、今後、VR、ARも含めどういった方向性で会社を進めていくのですか?今後の意気込みも含めて教えて下さい。

上杉氏:僕たちは「ORATTAがなかったら生まれなかったサービスを作る」という考えを大切にしています。「マーケティングドリブン」であれば、僕達でなければならないということにはならず、僕達がやらなくても他の人がやれば良いことだと考えています。プロセスとしてはそのためには、新しい技術を開発し、そこから新しいサービスを生む「テクノロジードリブン」な開発プロセスが重要です。

そのため、「テクノロジードリブン」をさらに加速させるためのR&D機関として「ORATTA Techne」を設立しました。

今回はVRの話を取り上げていただいていますが、ORATTA Techne自体はVRだけを研究している訳ではなく、他の技術も研究開発をしています。その中のひとつがVRであり、我々が研究開発している分野のどこかでトップを取っていきたいと思っています。

僕達はモバイルゲームの分野ではある程度の確率でヒットは打てると思っていますが、今から市場でトップになるのは難しいでしょう。モバイルゲームの黎明期から参戦しているORATTAとしては悔しい反面、6年間ゲーム作りに必要な組織づくりや技術の蓄積をしてこられたというのは大きな成果だと思っています。

キャリアの公式サイトで蓄積できた会社がモバイルゲームで大きなチャンスを掴んだように、次の市場やそこに必要な技術をしっかり見極めることで同じように大きなチャンスを掴みたいですね。ORATTAは完全オーナー会社なので色んな意味で身軽に動ける状態で、かつゲーム作りを強みとした組織があるというのは次の市場にチャレンジする上では非常に良いポジションにいると思います。

ORATTA Techneは僕達が今後市場に対して「突き抜けたプロダクトを作る!」「ぶちかましてやる!」という会社自体の意思表示です。今、世界にないものを作りますので是非今後もORATTAを見て頂ければ嬉しいです。

株式会社ORATTA(オラッタ)
http://www.oratta.net

株式会社ORATTA Techne (オラッタテクネ)
http://techne.oratta.net

VRが体験できる期間限定イベント「VR LOUNGE」のご紹介

【開催日時】
Vol.1 2016年6月18日(土)12時~17時 終了しました
Vol.2 2016年6月19日(日)12時~17時 終了しました
Vol.3 2016年6月29日(日)12時~17時 終了しました

※VR体験の受付は16時30分まで
※どなたでも入店可能ですが、13歳未満の方のVR機器使用はできません。予めご了承くださいませ。

【場所】
バル オット:http://www.otto-jiyu.com/
(自由が丘駅 徒歩1分)

【費用】
無料(店内での飲食代は別途)

【体験可能なデバイス・コンテンツ】
・HTC Vive
・Gear VR
・VRボードゲーム (『アニュビスの仮面』)
・戦国アスカZERO VRコンテンツ
・Google Cardbord系のスマホVRコンテンツ

VRラウンジ特設サイト:http://vr-lounge.info/